千葉、兵庫両県で昨年12月から今月にかけて、中国の同じ会社の工場で製造され、JTの子会社「ジェイティフーズ」(東京)が輸入した冷凍ギョーザを食べた計10人が下痢や嘔吐(おうと)の食中毒症状を訴え、うち9人が入院した。五人が重症で、千葉県市川市の女児(5)は一時重体となったが、いずれも快方に向かっている。
ギョーザから殺虫剤に使われる有機リン系の農薬が検出され、両県警は中国での製造過程などで混入したとみて、業務上過失傷害や食品衛生法違反などの疑いで捜査を始めた。厚生労働省は在日中国大使館を通じて中国当局に通報した。
両県警や厚労省によると、原因食品は千葉県が「CO・OP手作り餃子(ぎょうざ)」(40個入り)で、兵庫県が「中華deごちそうひとくち餃子」(20個入り)。
千葉、兵庫県警が調べたところ、嘔吐物やギョーザの包装材から有機リン系農薬の「メタミドホス」を検出した。千葉県警は製造過程のほか、包装する際に混入した可能性もあるとみている。メタミドホスは日本では農薬として使われていないという。
JTによると、食中毒を引き起こしたギョーザは、いずれも河北省石家荘市の「天洋食品」の工場で昨年10月に製造された。JTは原因食品の2商品のほか、同じ工場で製造、市販されているロールキャベツなど6種、業務用のヒレカツなど15種の計23商品を自主回収する。
またJTが昨年末に買収した冷凍食品大手の加ト吉も、同じ工場で製造した冷凍食品を10品目程度販売していたことが判明、自主回収する。
≪悲痛な面持ち≫
ジェイティフーズや親会社のJT、日本生活協同組合連合会(生協)は30日、緊急会見を開き、「化学物質のチェックはしていなかった」と頭を下げた=写真。正規の流通過程を経てテーブルに乗った身近な食品にも“恐怖”がひそむ実態を印象づけ、消費者は不安の渦に。今後、被害拡大の恐れもあり、食品業界は大揺れ必至だ。
「お手元に商品があったら、決して召し上がらず、送料着払いでお送りくださいますようお願い申しあげます」
「お客さまやお取引さまに多大なる心配と迷惑をかけることを、心よりおわび申しあげます」
この日午後5時から都内で開かれた会見には、JTの岩井睦雄取締役ら計4人が出席。冒頭、JT側がコメントを読み上げ、悲痛な面持ちで謝罪した。